感染症の種類から日常生活の注意点まで。“免疫”のことを『分かりやすく』発信していきます。

こどもの免疫を育てるために

近年発生した新型コロナウイルス感染症の流行によって、こどもを育てる環境は一変しました。外出時はマスクをさせる、外で遊ばせない、友だちとの交流を控える、などなど…。こうした変化は、こどもの成長に悪い影響があるのでは、という心配の声が上がっています。免疫の観点からはどうでしょうか。

先ほども紹介した通り、免疫は生まれて間もなくから12歳くらいまでに、たくさんの有害な微生物や物質に触れることで、一気に成長します。
ところが、新型コロナウイルスへの接触を減らす新しい生活様式は、同時に他の細菌やウイルスなどとの接触を減らすことになり、これまでであれば獲得しやすかったはずの免疫が獲得しにくくなりました。
このような状態を「免疫負債」※4と呼んでおり、新型コロナ以前とは違った年齢や季節でのウイルス感染の流行や、突然体調を崩すこどもの増加などにつながっていると考えられています。さらに、ストレスが免疫のはたらきを悪くすることを紹介しましたが、外出の減少や、マスク越しで表情がわかりにくい中で友だちと遊んだり会話したりといったコミュニケーションの変化は、こどもにとって大きなストレスであると想像できます。
日常生活のなかでの制限は徐々に緩和されてきました。正しい感染対策はどの時代でも大切なことですが、こども免疫をきちんと成長させるために、その中でできることを積極的に取り入れることも大切です。

数多くの細菌などに適度に触れる

赤ちゃんがつかんだものをなんでも口に運んだり、指をしゃぶったりする行為は、有益な細菌をからだに取り込んだり、免疫の学習をするために行っているとも言われています。
また、乳幼児期の土遊びは土壌の有益な細菌の取り込みに役立つとされています。外遊び中の細菌などへの接触は、気管支喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の予防にとって良い効果があるとも考えられています。
もちろん、有害な細菌や物質が含まれている場合もあるので、遊んだ後の手洗いなどの衛生管理には注意が必要です。
しかし、触るものをすべて消毒する、外でものに触らせない、何度も石鹸で手洗いをさせるなど、過度に清潔さを保とうとすると免疫の獲得や成長にとって良くないことも理解しておく必要があります。

バランスの良い食事

免疫はリンパ球などのからだの細胞がはたらくことで機能しています。栄養バランスの良い健康的な食事を心がけることによって、からだ全体の細胞のはたらきが良くなり、免疫も強化されます。免疫のはたらきを助ける成分には、鉄分、亜鉛、ビタミンDなどがあり、サプリメントなど、免疫機能の維持をサポートする機能性表示食品が市販されています。
また、食事の時間をある程度決めることは生活リズムの形成にもつながります。特に夕ご飯は就寝時間の3時間前までに終えておくと、腸のはたらきを妨げず、睡眠の質が上がるため、免疫にとっても良いとされています。

適度な睡眠

睡眠はその日の疲労やストレスを軽減する大切な役割があります。疲労やストレスの蓄積は心身の動きを悪くし、免疫のはたらきにも影響します。適正な睡眠時間は年齢によって異なりますが、小学生で10時間程度が理想とされています。
学習塾や習い事などで夕食の時間や就寝時間が遅くなりがちですが、こどものすこやかな成長に向けて配慮が必要です。

適度な運動

適度な運動の習慣は、からだの成長を促し、ストレスの解消にもつながりますので、免疫のはたらきを高めるためにも役立ちます。スポーツクラブや部活などで激しい運動を行っている場合は、疲労を蓄積させないために、食事や睡眠と合わせて考える必要があります。

これらは、免疫に限らず、すこやかなからだとこころを育む上で大事なことです。生活の中で見直せることがあれば、ぜひ参考にしてみてください。

※4: [出典] Infect Dis Now. (2023) 53(2): 104638

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