感染症の種類から日常生活の注意点まで。“免疫”のことを『分かりやすく』発信していきます。

vol.3 マスク、
本当にしなくていいの?

2023.04.28

新型コロナが「5類」に引き下げられる中で、2023年3月13日からマスク着用については個人の判断に委ねられることとなりました。
この決定に関して、現在SNSやWEB記事等では様々な意見が発信されており、今後のマスク着用についてはなかなか個々人では判断しづらい状況になっています。
このコラムでは『マスク着用』の効果について紹介し、どういった場面では着用した方がよいのか?など分かりやすく解説していきます。

宮田俊男

監修:宮田 俊男 先生

日本の医療の在り方に一石を投じる、都市型の地域包括医療クリニック〈みいクリニック〉理事長(東京都渋谷区、大阪府箕面市)
早稲田大学理工学術院教授/吉本興業企画笑来塾塾長

厚生労働省の発表

<マスクの着用の考え方について>

これまで屋外では、マスク着用は原則不要、屋内では原則着用としていましたが令和5年3月13日以降、
マスクの着用は、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となりました。
本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、ご配慮をお願いします。

※厚生労働省HP「マスクの着用について」から引用  
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html

まず勘違いしてはいけないこととして、政府としての考え方は「マスクの着用不要」ではなく「個人の主体的な選択を尊重する」こととしており、「マスクの着脱を強いる」ことが無いように配慮を呼び掛けているということです。 WEB上で発信されている意見の中には「マスク不要と政府が発表した」という内容も見かけますが、あくまでシーンに応じて個人の判断で着脱を判断し、その個々人の判断は尊重されるべきであるというメッセージとなります。

そもそも感染って
どうやって起こるの?

マスクを着ける、着けないを考えるときには、新型コロナウイルスの感染の仕方について知っておくとより判断しやすくなります。まずはじめに、新型コロナやその他感染症がどのように感染していくのかを解説します。

飛沫感染 インフルエンザ/エアゾル マイクロ飛沫 新型コロナ

感染には「飛沫」というものが大きく関与しています。この「飛沫」というのは会話や咳やくしゃみをするときに必ずと言っていいほど飛び散っている細かい水滴のことで、この飛沫の中に病原体が含まれていると他者に感染してしまいます。
飛沫は空気中では重く、基本的には1~2メートルで地面に落下するため、ソーシャルディスタンスもこの距離をもとに1~2メートルと定められています。

一方でソーシャルディスタンスを守ってさえいれば十分か?というとそういう訳でもなく、新型コロナのような感染力の強いウイルスは「エアロゾル感染」という形でも感染が拡がってしまいます。
「エアロゾル」とはより微細な飛沫(直径5µm以下)のことで、飛沫よりも軽いために2メートル以上の距離でも運ばれるものとなります。

[ 飛沫とエアロゾルの違い ]

飛沫 水分を含むため重たく1〜2m程度で落下→水分蒸発→エアゾル 水分が抜けて軽く小さくなるため2m以上の距離にも飛散

マスクは効果があるの?

飛沫、特にエアロゾルは多くの人が集まる場所(満員電車、会議室、イベント会場など)ではどうしても飛散してしまうことが予想されます。しかし理化学研究所の研究によると、エアロゾルはマスク着用によって透過を防げることが明らかになっており感染症対策には高い効果があると考察されています。

[ マスク素材別の
エアロゾルの透過比較 ]

マスクを透過する粒子を計測したところ、ポリウレタン製以外のマスクではほとんど透過しなかった
  • ※理化学研究所 和田智之らの研究結果「マイクロサイズ飛沫の特性計測中間報告」より作成

結局、マスクは着用すべきか?

ここまでで感染症には飛沫、エアロゾルが関係すること、そしてマスク着用によって効果的に防げることを解説してきました。では結論としてマスクは着用すべきなのでしょうか? 結論としては、感染症にかからないようにするためにはマスクを着用することが望ましいと言えます。一方で、いつまでもマスクを常用する生活を苦痛に感じられる方も多いのが現状です。そのため、屋外や空いている施設ではマスクを着用しない生活に変えていく一方で、混雑している場所に行かれる際や身近に免疫力が低下している方々(お子さんや高齢者の方など)がいらっしゃる場合は、引き続きマスクを着用するのが望ましいでしょう。マスクはシーンによって上手に有効活用したいですね。
しかし当然、マスクだけでは感染を予防できませんので、普段からの免疫機能の維持が大切です。
感染症にかからない元気な毎日を過ごせるよう日々気を付けていきましょう!

キリンでは35年以上にわたって「免疫研究」を盛んに行ってきており、手軽に感染症対策ができることを目指した乳酸菌の研究開発を行っています。ぜひその研究の様子も覗いてみてください!

有効な免疫対策

  • しっかりとした睡眠をとる
  • 適度な運動をする
  • バランスの良い食事をとる
  • サプリメントを摂取する

感染症にかからない元気な毎日をすごせるように、日々生活習慣には気を付けていきましょう!