熟成ホップの特徴 Matured Hop Features

「熟成ホップ」は、ビールに欠かせない原料である「ホップ」の苦味の力を引き出した機能性食品素材・化粧品素材です。
カラダとココロとアタマのケアに役立つ「熟成ホップ」の特徴をご紹介。
[ 熟成ホップとは ]
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ビールの魂である
「ホップ」を原料とし、
キリンの20年以上に
わたるホップ研究によって
生み出された機能性食品素材です。
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独自の熟成技術によって、
苦味成分のバランスと
機能性を
最大限に引き出しています。 -
摂取すると腸から脳への神経を
活性化させ、
カラダとココロとアタマの
ケアに役立ちます。
ホップは、ビールに爽やかな苦味と香りをもたらす、欠かせない原料です。一方で、古くから健康への効果も知られており、海外ではメディカルハーブや漢方として利用されてきました。このホップの“苦味の力”に着目し、ビール以外の食品にも使いやすい形に仕上げたのが、キリンが開発した機能性食品素材が「熟成ホップ」です。
「熟成ホップ」は、その名の通り、ホップを熟成させてつくられた素材です。ビールの世界では、ホップは熟成させると苦味が穏やかになり、ビール本来の風味としては物足りなくなることが知られています。しかしキリンの研究チームは、この現象に着目しあえてホップを熟成させることで、苦味がやわらかく食品にも使いやすい新素材「熟成ホップ」の開発に成功しました。「熟成ホップ」の苦味は、熟成前と比べて約10分の1に低減しており、ビールはもちろん、さまざまな食品に応用可能です。
[ 熟成ホップの機能とメカニズム ]
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カラダへの機能として、「体脂肪の低減」、
「内臓脂肪の低減」などが期待されています。 -
ココロやアタマへの働きとして、「不安感の軽減」、
「思考時の脳疲労感の軽減」、
「注意集中力の改善」などが期待されています。 -
熟成ホップの苦味成分が腸と脳を繋ぐ
神経を活性化します。
「熟成ホップ」に含まれるホップの苦味成分「熟成ホップ由来苦味酸」が腸を介して神経を刺激することによって、「体脂肪低減」や「内臓脂肪低減」、「不安感の軽減」、「注意集中力の改善」といった様々な効果があることが、これまでのキリンの研究によって明らかにされてきました。これらの研究成果は、国内外の学術誌や学会などでも数多く発表されています。
褐色脂肪組織の活性化による
「体脂肪や内臓脂肪の低減」

私たちの体内には、「白色脂肪組織」と「褐色脂肪組織」という2種類の脂肪組織があり、それぞれ異なる役割を担っています。白色脂肪組織はエネルギーを蓄える“貯蔵庫”のような役割を果たし、褐色脂肪組織は余分なエネルギーを熱として放出する“燃焼装置”として働きます。特に褐色脂肪組織は、寒さにさらされたときや食後に活性化し、体重管理や健康維持に重要な役割を果たしていることが知られています1,2)。さらに、成人の体内にも活性を持つ褐色脂肪組織が存在しており、その働きが活発な人ほど、体脂肪や内臓脂肪が少ない傾向があることが報告されています3)。
「熟成ホップ」を摂取すると、小腸の苦味受容体が刺激され、ホルモンの一種であるコレシストキニン(CCK)の分泌が促進され、迷走神経が活性化して交感神経の活動が高まります4)。交感神経の活動は褐色脂肪組織を活性化させて、熱をたくさん生み出すことで脂肪の燃焼を促進するため、体脂肪や内臓脂肪を減らすのに役立つと考えられます。また、GLP-1の産生誘導の可能性も示唆されており、さらなるの研究が期待されます。
引用文献
1)Physiol Rev. 2004 Jan;84(1):277-359.
2)Front Endocrinol (Lausanne) . 2012 Feb 6:3:14.
3)Diabetes Metab J. 2013 Feb;37(1):22-9.
4) J Nutr Biochem. 2019 Feb:64:80-87.
神経伝達物質の分泌と
脳内炎症の抑制による
「精神機能や注意力・
記憶力の改善」

不安感などの精神機能や、注意力、記憶力といった認知機能の低下には、脳内の神経伝達物質や炎症が関与していると考えられています1) 。特に、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)は、注意力や記憶力の維持に重要な役割を果たしますが、その機能は加齢とともに低下することが知られています1,2) 。「熟成ホップ」の苦味成分は、このノルエピネフリンの分泌を促進し、注意力や記憶力の改善に寄与することが示唆されています。この苦味成分は、小腸の苦味受容体を刺激し、神経活性化を促進するホルモン、コレシストキニン(CCK)の分泌を促します3)。これにより、腸と脳をつなぐ迷走神経が活性化し、結果として脳内のノルエピネフリンの量が増加し、神経細胞の活性が高まると考えられています3)。この仕組みは「脳腸相関」として知られ、腸の状態が脳の機能に影響を与えることを示しています。
また、加齢による脳内炎症は注意力や記憶力の低下の一因とされており4)、この炎症を抑えることが精神機能や認知機能の維持につながると考えられています。「熟成ホップ」の苦味成分を摂取することで、ノルエピネフリンの分泌が促進され、炎症を調整する役割を持つミクログリアの活動が制御され、脳内の炎症が抑えられることが報告されています5,6)。
これらの研究結果から、熟成ホップの苦味成分、脳腸相関を介して脳の働きを活性化し、不安感の軽減や注意力の低下抑制などの機能があると考えられます。
1) 徳岡 宏文、一瀬 宏. ノルアドレナリン.脳科学辞典サイト
2)Trends Cogn Sci. 2016 Mar;20(3):214-226.
3) J Nutr Biochem. 2019 Feb:64:80-87.
4) Neurobiol Aging. 2000 May-Jun;21(3):383-421.
5) Sci Rep. 2020 Nov 18;10(1):20028.
6) Front Neurosci. 2019 Jan 28:13:41.