感染症の種類から日常生活の注意点まで。“免疫”のことを『分かりやすく』発信していきます。

vol.25 免疫力を高める3つの方法
【食事編】
-免疫力を高める食べ物とは?-

2024.11.22

だいぶ気温も下がり、いよいよ冬の訪れを感じるようになりました。

新型コロナやインフルエンザ、風邪といった感染症が流行しやすいこの季節。

しっかりと免疫力を高めて予防をしていきたいですよね。

今回は連続コラムの第二回目として「食事」についてまとめていきます。

この記事では免疫力を高める食べ物食事のとり方などを紹介していきます。

ぜひこの冬の感染症対策にお役立てください!

そもそも免疫力って何?

免疫力とは体内に侵入してくる「ウイルス」や「細菌」から、身体を守ってくれている防御システムのことです。

免疫力がしっかり維持されていると風邪やインフルエンザ、新型コロナといった感染症にかかりにくくなります。

免疫については下記のページでより詳しく説明しています。

しかし、寝不足偏った食事運動不足などによって免疫力が低下すると、こういった感染症にかかりやすくなるほか、かかった時に重症化しやすくなるといったリスクも高まります。

特に食事においては、偏った食生活によって必要な栄養素を摂取できないと免疫力が低下してしまいます。

免疫力に関わる栄養素とは?

では免疫力にはどういった栄養素が関わっているのでしょうか?

様々な栄養素と免疫の関係についてはこれまでに非常に多くの研究が行われています。

その中でも、今回は特に重要な栄養素を下記に6つまとめてみました。

ビタミンC

ビタミンCは、免疫力を高めることが一般的にもよく知られている栄養素です。

ビタミンCには、病原体の進入時に働く免疫細胞(NK細胞、好中球、リンパ球、食細胞など)の産生や、抗菌活性を高める働きがあります。

また最新の研究によると、免疫の司令塔として非常に重要な働きをする「pDC」を活性化する「L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)」の作用を、ビタミンCは強めることがわかってきています。

参考:The Vitamin Society of Japan 「免疫応答におけるビタミンCの生理学的役割」
参考:5th Food for Health International Conference & Life Science Symposium

免疫系を活性化するpDCの能力
 IFN-α産生量(in vitro試験)

プラズマ乳酸菌/プラズマ乳酸菌+ビタミンC

ビタミンD

ビタミンDは、日光を浴びることで体内で生成され、骨の形成等に関わっていることが一般的には知られていますが、実は免疫機能にも非常に大切な物質です。

ビタミンDには、体内に入ってきた細菌やウイルスを食べる「マクロファージ」という免疫細胞を活性化させる働きがあるため、免疫力の維持に重要な栄養素といわれています。

実際にビタミンDの欠乏が、歯性感染症、上気道炎、肺炎などの増加に関係しているとされる研究結果も報告されています。

参考:The Journal of Rheumatology 2010, 37 (3) 491-495
参考:日本内科学会雑誌第108巻第11号|低栄養患者における感染症

ビタミンA

ビタミンAは、目の網膜細胞の保護や視細胞の光刺激反応に重要な物質として一般的によく知られていますが、実はビタミンAも免疫に大きく関わっています。

細菌やウィルスの侵入を防ぐためには皮膚や粘膜を正常に保つことが重要ですが、ビタミンAが欠乏すると上皮細胞の分化・増殖の障害、皮膚の乾燥・肥厚・角質化、粘膜上皮の乾燥などを引き起こしてしまい、身体のバリア機能が低下して感染症にかかりやすくなるといわれています。

またビタミンAは、目、鼻、口粘膜での「IgA抗体」という免疫物質の維持に重要な働きをしており、外から侵入した異物にIgA抗体がくっつくことで細胞への侵入を防いでくれています。

参考:厚生労働省|1―6 ビタミン
参考:日本内科学会雑誌第108巻第11号|低栄養患者における感染症
参考:腸内細菌学雑誌 2007 21, 297$2013304 「腸管免疫におけるビタミンAの役割」

ビタミンB6

ビタミンB6は、たんぱく質をもとに免疫細胞を生成するのを活性化する働きを担っています。

また体内の代謝を上げることにも働きかけるため、体温上昇による免疫力向上も期待される栄養素です。

参考:Nutrition in Clinical Care 2001, 4(4) 188-198

ビタミンE

抗酸化作用をもつ栄養素として一般的には知られていますが、ビタミンEもまた免疫機能に関与している物質のひとつです。

ビタミンEは、免疫細胞を活性化させることで体内に侵入してくる細菌やウイルスを防ぐ働きを持っています。

参考:IUBMB Life 2019, 71(4) 487-494

亜鉛

亜鉛は、からだの中のたんぱく質合成・分解や、多くの酵素活性に必要な因子といわれており、欠乏してしまうと味覚障害や性腺機能不全などを引き起こすことがよく知られています。

免疫力の維持においても大変重要な栄養素で、欠乏すると好中球やNK細胞といった免疫細胞の機能低下抗体産生の低下などを引き起こし、感染症にかかりやすくなるといわれています。

参考:日本内科学会雑誌第108巻第11号|低栄養患者における感染症

その他の栄養素については下記のページにもまとめています

免疫力を高める食べ物・食事のとり方

ここまで免疫力を高めるために重要な栄養素をまとめてきましたが、ではどういった「食べ物」なら必要な栄養素を摂れるのでしょうか?

下記にそれぞれの栄養素が多く含まれている食べものをまとめてみました。

免疫力を高める食べ物の例

ビタミンC

野菜、果物類
特にじゃがいも、サツマイモ、赤パプリカ、黄色のキウイ
フルーツ等に多く含まれている。

ビタミンD

魚介類、きのこ類
特に魚の皮に多く含まれているため、皮も残さず食べる
ことで効率よくビタミンDを摂取することができる。

ビタミンA

緑黄色野菜
特ににんじん、かぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリー、
トマト等に多く含まれている。

ビタミンB6

赤身魚、ヒレ肉、ささみなどの脂が少ない肉類、バナナ、
パプリカ、さつまいも、玄米等

ビタミンE

アーモンドなどの大豆製品、イワシ、サバなどの魚介類

亜鉛

野菜魚介類、肉類、藻類、種実類、穀類
特にかき、うなぎ、豚レバー等に多く含まれている。

食事のとり方

基本的には規則正しい生活を送り、1日3食しっかり食べることがなによりも大切です。

その上で、ここまで紹介してきた栄養素をバランスよく日々摂取することが非常に重要となります。

下記に免疫力を高めることが期待できる献立の例をまとめてみました。

インフルエンザ発症率1.6倍
  • 雑穀米・とろろイモ

    雑穀を白米に混ぜて炊飯する。
    山芋をすりおろし、みりん、薄口しょうゆを混ぜる。

  • しじみ汁

    昆布だし(150ml)が沸騰したら、しじみを入れ10分くらい煮て、みそを入れて味を調える。ニラを足す。

  • アジの南蛮漬け

    3枚おろしにしたアジの水気を取り、小麦粉をまぶして油で揚げる。三杯酢に揚げたてのアジをつけ、味をなじませる。スライス玉ねぎ・ピーマン・ニンジンを混ぜ、30分ほどおいて器に盛る。

  • オクラ納豆

    ゆでてカットしたオクラと、納豆・たれを混ぜる。

  • りんご

その他の栄養素については下記のページにもまとめています

感染症にかからないためにすべきこと

今回の記事では、免疫力を高める方法として「食事」を中心に紹介しました。

しかしお仕事や子育て、学業など忙しい日常生活の中では、1日3食、栄養バランスを考えながら食事を準備するのはとても大変ですよね・・・。

そんな時の選択肢として、不足しがちな栄養素をサプリメントで補うことも大切な考え方のひとつです。

マルチビタミンのような栄養素をまとめて摂取できるものを活用するのも一つの方法です。

また、免疫機能の維持をサポートすることが期待される食品も取り入れながら、日々元気に過ごしていきましょう!

また「インフルエンザ」や「新型コロナ」に限らず、多くの感染症は原因となるウイルスや細菌が身体に侵入することが第一の原因となります。

そのため、基本的な感染症対策である「①マスクの着用」「②こまめな手洗い・手指消毒」「③定期的な換気」も合わせて実施していくことがとても大切です。

マスクの効果については
以前の記事に詳細をまとめています

しっかりとした睡眠をとり、この冬を乗り切っていきましょう!