感染症の種類から日常生活の注意点まで。“免疫”のことを『分かりやすく』発信していきます。

vol.24 免疫力を高める3つの方法
【睡眠編】
-インフルエンザやコロナは
睡眠不足でかかりやすくなる?-

2024.11.22

そろそろ冬本番!

新型コロナやインフルエンザ、風邪といった感染症が流行しやすい季節になりました。

気温も低いのでなるべく自宅で暖かく過ごしたいですよね・・・!

しかしクリスマスや年末年始といった行事も多く、そうも言っていられないのがこの季節。

そんな冬を乗り切るべく、今回から連続コラムとして「免疫力を高める方法」を紹介していきます!

第一回目は「睡眠」の重要性についてまとめました。

ぜひこの冬の感染症予防や対策にお役立てください!

そもそも免疫力って何?

免疫力とは体内に侵入してくる「ウイルス」や「細菌」から、身体を守ってくれている防御システムのことです。

免疫力がしっかり維持されていると風邪やインフルエンザ、新型コロナといった感染症にかかりにくくなります。

免疫については下記のページでより詳しく説明しています。

しかし、寝不足偏った食事運動不足などによって免疫力が低下すると、こういった感染症にかかりやすくなるほか、かかった時に重症化しやすくなるといったリスクも高まります。

特に睡眠においては、きちんと眠れていない人ほど風邪をひきやすいことが過去の研究から明らかになっています。

風邪のひきやすさと熟睡度の関係

※寝床にいた時間に対して実際に眠っていた時間の割合
Cohen, Sheldon, et al. "Sleep habits and susceptibility to the common cold" Archives of internal medicine, 169.1(2009):62-67より一部改変

寝不足で免疫力が落ちるのはなぜ?

では寝不足(睡眠不足)で免疫力が落ちるのはなぜでしょうか?

睡眠と免疫の関係については、これまで国内外問わず非常に多くの研究がなされています。

成長ホルモンが免疫力の維持に
関わっている説

成長ホルモンとは脳の下垂体とよばれる部分から分泌されるホルモンです。

この成長ホルモンは子供の発育のみに重要と思われがちですが、実際には大人になってからも代謝や免疫の維持に重要な働きをしていると言われています。

成長ホルモンは睡眠時に最も多く放出されるため、睡眠をとらないと免疫力が低下すると言われています。

メラトニンが免疫維持に重要である説

メラトニンは脳の松果体とよばれる部分から分泌されるホルモンです。

一般的に睡眠や覚醒のリズムを調節するホルモンといわれ、いわゆる体内時計(概日リズム)に関わっているとされています。

このメラトニンが免疫機能に重要な免疫細胞の産生や調節に関わっていると言われており、睡眠不足によって免疫力が低下する原因のひとつと考えられています。

メラトニンは夜間に分泌が増えるのが一般的ですが、生活リズムが乱れているとうまく分泌されなくなってしまうため、規則正しい生活を行ってしっかりとした睡眠をとることが免疫の維持に重要と言われています。

睡眠は「時間」だけじゃなく
「質」も重要

ではしっかりとした睡眠とはどんな睡眠なのでしょうか?

睡眠には「時間」と「」と言う2つの要素があります。

「時間」は一般的に6~8時間とることが適切と考えられており、厚生労働省では1日の睡眠時間を少なくとも6時間以上確保することを推奨しています。

ではこれに対して「質」の良い睡眠とはどういったものなのでしょうか?

下記のチェックリストで確認してみましょう!

睡眠の質が良い例

  • 寝つきが良い
  • 途中で目覚めることなく、
    ぐっすり眠れる
  • 目覚めがスッキリしている
  • 日中に眠気を感じない

これらの睡眠の質は、実際の医療・研究の現場では「ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)」とよばれる質問票で測定されています。

そして最新の研究ではこの「睡眠の質」が「インフルエンザの発症」に大きく関与することが分かってきています。

青森県の弘前市で約1,000人に対して行われた観察研究のデータによると、睡眠の質が低い集団では約1.6倍もインフルエンザの発症リスクが増えることがわかりました。

睡眠の質とインフルエンザ発症有無との関係性

インフルエンザ発症率1.6倍

引用:睡眠の質とインフルエンザ発症の関係(コホート研究) 体力・栄養・免疫学会 第32回大会 2024年8月24–25日

睡眠の質はインフルエンザや新型コロナなどの感染症対策に重要だと言うことがわかりますね。

下記に睡眠の質を高める方法をまとめたのでぜひお役立てください!

朝起きたら太陽の光を浴びる

起きてすぐに太陽の光を浴びると体内時計が整います。

目が覚めたらまずはカーテンを開ける習慣を付けましょう。

入浴は就寝の2~3時間前

一般的に就寝の2~3時間前に入浴すると寝付きが良くなると言われています。

逆に就寝直前に入ってしまうと覚醒してしまう可能性があるため注意が必要です。

就寝前のパソコン・スマートフォンは
避ける

夜に強い光を浴びてしまうと、体内時計が崩れてしまう原因になります。

就寝前にはなるべくパソコンやスマートフォンの使用を控えましょう。

感染症にかからないためにすべきこと

今回の記事では、免疫力を高める方法として「睡眠」を中心に紹介しました。

しかし仕事や子育て、学業など忙しい日常生活の中ではなかなか睡眠時間が確保できないと言う方も多いのではないでしょうか?

また、睡眠の質も大切であると言うデータをご紹介しましたが、睡眠の質と言うのは「よく眠れた」と言う実感を反映したものです。

日々の生活の中で睡眠に満足できていないと感じていれば、感染症にかかりやすくなるかもしれません。
睡眠の質を高める以外の、免疫のケアをしっかり行うことも大切です。

その際の選択肢の一つとして、免疫力を高めるために必要な栄養素を摂取するほか、サプリメントを使用するということも大切な考え方です。

キリンでは、新型コロナウイルスや風邪、インフルエンザ等、様々な感染症予防に効果のある「乳酸菌」の研究を約15年間に渡り行ってきました。

ぜひこういったものを役立てて頂き、日々元気に過ごしていきましょう!

また「インフルエンザ」や「新型コロナ」に限らず、多くの感染症は原因となるウイルスや細菌が身体に侵入することが第一の原因となります。

そのため、基本的な感染症対策である「①マスクの着用」「②こまめな手洗い・手指消毒」「③定期的な換気」も合わせて実施していくことがとても大切です。

マスクの効果については
以前の記事に詳細をまとめています

しっかりとした睡眠をとり、この冬を乗り切っていきましょう!