感染症の種類から日常生活の注意点まで。“免疫”のことを『分かりやすく』発信していきます。

vol.23 溶連菌感染症の症状は?
のどの痛み・発熱・発疹が
あったら注意!

2024.11.10

溶連菌感染症はお子さんがよくかかる感染症のひとつです。

「のどの痛み」や「発熱(38℃以上)」があった際にうたがわれる感染症で、症状によっては身体に「発疹」ができることもあります。

また最近は「劇症型溶連菌(劇症型溶血性レンサ球菌感染症)」が話題になりましたが、この「劇症型」は発症するとその重篤な症状から致死率が3割にも上る恐ろしい病気と言われています。

原因となる細菌種(溶血性レンサ球菌)は同じといわれているため、感染しないように注意することが重要です。

本記事では「溶連菌感染症」について、症状かかってしまった時の対処法についてまとめています。

ぜひ予防や対策にお役立てください!

「溶連菌感染症」の症状は?

一般的に私たちが耳にする「溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)」とは、A群溶連菌という細菌が原因で引き起こされる病気です。

代表的な症状は、発熱(38℃以上)のどの痛みですが、そのほかに体や手足に紅い発疹が出たり、舌にイチゴのようなブツブツ(イチゴ舌)ができることもあります。

また、風邪と違って咳や鼻水が出ないのも溶連菌感染症の特徴のひとつです。

高熱/咽頭発赤/発疹/イチゴ舌

潜伏期間は2〜5日あるため、溶連菌感染症は感染してから症状がでるまで少し時間がかかります。

「劇症型」との違いは?

溶連菌感染症は、しっかり治療をすればほとんどが発熱、咽頭炎、皮膚の発疹などの症状ですむ病気です。

しかし一方で、レンサ球菌の中でも特定の菌種に感染してしまうと「劇症型」と呼ばれる非常に重篤な症状になってしまうことがあります。

特徴としては、30歳以上の大人に多く、腕や足の痛み、腫れ、発熱、血圧の低下などから症状が始まります。

さらにその後は組織が壊死・多臓器不全等を来たし、場合によっては数時間で急激に症状が悪化することもある恐ろしい病気です。

また、初期症状は一般的な「溶連菌感染症」と似ているものもあるため、体調不良を感じたらなるべく早期に医療機関を受診しましょう。

ご自分やご家族が発症してしまったもしもの時に迅速に対処できるよう、下記に劇症型と一般的な溶連菌感染症(A群溶連菌)の違いについてまとめました。

劇症型とA群溶連菌の違い

劇症型 A群溶連菌
かかりやすい
年齢
30歳以上の大人に多い 子供に多い
初期症状 ・発熱や悪寒など風邪様の症状
・四肢の疼痛や腫脹
・創部の発赤
・乳幼児では咽頭炎、年長児や成人では扁桃炎
・気管支炎
・猩紅熱といわれる全身症状(発疹、イチゴ舌等)を呈することがある
後発症状 ・組織の壊死
・呼吸状態の悪化
・肝不全、腎不全などの多臓器不全
・リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの二次疾患を起こすことがある
注意する
ポイント
症状の進行が非常に速いため、四肢の疼痛、腫脹、発熱などの感染の兆候がみられる場合は、速やかに医療機関を受診する 腎炎などの合併症を防ぐため、症状が改善しても主治医に指示された期間は薬を飲むことが大切

参考:
厚生労働省|劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)
厚生労働省|A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
東京都保健医療局|A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 (溶連菌感染症)について

「劇症型」の詳細については他の記事にもまとめています。ぜひご覧ください。

かかってしまった時の対処法は?

では溶連菌感染症にかかってしまった場合、もしくは疑われる場合はどう対処すればよいのでしょうか?

まずはかかりつけの医療機関にて速やかに診察を行い、溶連菌感染症の検査をします。

この検査は一般的に5~10分で結果がでるため、すぐに溶連菌かどうかがわかります。

溶連菌の感染が分かれば、熱やのどの痛みをやわらげる薬のほかに、病気の原因となるA群溶連菌を退治するための抗菌薬が処方されます。

処方された薬を飲むと症状は軽くなりますが、症状が軽くなったからと油断せず、医師に指示された期間はきちんと最後まで薬を飲み切ることが重要です。

劇症型とA群溶連菌の違い

途中で薬をやめてしまって感染期間が長引いてしまうと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった二次疾患や、腎炎などの合併症を発症する可能性もあるため、症状が改善しても医師に指示された期間は薬を飲み続けましょう。

劇症型とA群溶連菌の違い

また溶連菌感染症はのどの痛みがでるため、なるべく柔らかく薄味の食事を工夫し、消化の良いものをとるようにしましょう。

水分補給も非常に重要なため、こまめにとるように心掛けてください。

刺激が強いたべもの

  • 熱いもの
  • 辛いもの
  • すっぱいもの
  • 味の濃いもの

刺激が弱いたべもの

  • のどに刺激がないもの
    柔らかいゼリー、ヨーグルト、
    スープなど
  • 消化のよいもの
    お粥、煮込みうどんなど

予防接種はある?

2024年11月現在、残念ながら溶連菌感染症と劇症型溶血性レンサ球菌感染症に有効なワクチンはありません。

また「溶血性レンサ球菌」は菌種が多いため、一度かかったとしても何度もくり返し発症してしまう可能性があります。

そのため日々の感染症対策をしっかりと行うことで、周りの人からうつらない、周りの人にうつさないよう徹底することが非常に重要です。

感染症にかからないためにすべきこと

溶連菌感染症」や「劇症型」に限らず、多くの感染症の予防には、「①マスクの着用」「②こまめな手洗い・手指消毒」「③定期的な換気」といった基本的な感染症対策が有効です。

これは、感染症の多くが「飛沫感染(+エアロゾル感染)」と「接触感染」が主な感染経路となっているためであり、これらの感染経路を遮断することが効果的な対策となります。

マスクの効果については
以前の記事に詳細をまとめています

今回の記事の内容で、溶連菌を予防するためのワクチンが無いという部分に驚いた方もいらっしゃったかと思いますが、意外にもよく耳にする感染症には特効薬やワクチンが無いケースも多いです。

感染症を防ぐために、基本的な感染症対策をしっかり行っていきましょう。

また、細菌を防ぐだけではなく自身の「免疫力を低下させない」こともとても重要となります。

免疫力を低下させないよう日々の生活習慣には十分気を付けましょう!

有効な免疫対策

  • しっかりとした睡眠をとる
  • 適度な運動をする
  • バランスの良い食事をとる
  • サプリメントを摂取する

キリンでは、新型コロナウイルスだけでなくインフルエンザウイルスの感染抑制や風邪の罹患率の低下が報告されている「乳酸菌」の研究を約15年間に渡り行ってきました。詳細は下記のページにまとめていますのでぜひご覧ください!
科学の力であなたの生活のお役に立てたら嬉しいです!