感染症の種類から日常生活の注意点まで。“免疫”のことを『分かりやすく』発信していきます。

vol.19 【2024年10月】
マイコプラズマ肺炎
症状は?
うつる?仕事は休むべき?

2024.10.11

マイコプラズマ肺炎は発熱長引く咳といった症状が特徴的で、飛沫感染によってうつる感染症です。
2016年に大流行して以来、話題になることは少なかったのですが、今年は感染者数が2016年以来の水準となり大流行しています。
一般的に子供がかかりやすい感染症として知られているマイコプラズマ肺炎ですが、実は症状は大人の方が重く、高齢の方がかかると死亡するケースもあります。

では万が一感染してしまった場合どのように対処すれば良いのでしょうか?
この記事ではマイコプラズマ肺炎の最新情報についてまとめています。ぜひこの秋冬の感染症対策にお役立てください!

マイコプラズマ肺炎ってどんな病気?

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ( Mycoplasma pneumoniae )」という細菌に感染することによって引き起こされる病気です。
初期症状は風邪に似ていますが、発症すると発熱や全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状がみられ、特に痰がからまない乾いた咳が出ることや、熱が下がった後も咳が長期(3~4週間)にわたって続くことがマイコプラズマ肺炎の特徴と言われています。
さらに発症のうち、5~10%は中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発する症例も報告されています。
また厚生労働省の調査によると、例年報告される患者の約80%が14歳以下であるとの報告があり、このデータから子供がかかりやすい感染症であることがうかがえます。

参考:厚生労働省|マイコプラズマ肺炎
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mycoplasma.html

2024年10月現在、マイコプラズマ肺炎の感染者数は非常に増加しています。
国立感染症研究所のデータによると8月19日~8月25日までの1週間で、1医療機関当たりの感染者数は「1.17人」となっており、大流行した2016年に記録して以来「1人」を超えたのは初めてです。

※全国500か所の医療機関から報告された1医療機関あたりの患者の数

マイコプラズマ肺炎
感染者数(1医療機関あたり)

マイコプラズマ肺炎 感染者数(1医療機関あたり)

参考:国立感染症研究所(NIID)

マイコプラズマ肺炎は秋冬に最も流行しやすいため、これからの季節十分に気を付けていきたいですね!

マイコプラズマ肺炎の薬は?
治療方法は?

ではかかってしまった場合はどのように治療すればよいのでしょうか?
マイコプラズマ肺炎は、成人かつ肺炎を伴わない気管支炎であれば投薬を行わないケースもありますが、基本的には「抗菌薬」によって治療を行います。
抗菌薬を使用する場合は一般的にマクロライド系のエリスロマイシンクラリスロマイシン等が処方されます。
軽症で済む場合が多いですが、重症化してしまった場合には入院が必要になるケースもあるため、咳が長引く等の症状がある時には注意が必要です。
またマクロライド系抗菌薬が効かない「耐性菌」に感染していた場合は、薬を飲んでいても症状が改善しにくいため、他の抗菌薬で治療する必要があります。
なかなか症状が改善しない時は、迷わず医療機関を受診するようにしましょう。

参考:NIID 国立感染症研究所|マイコプラズマ肺炎とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/503-mycoplasma-pneumoniae.html

学校や会社は休むべき?

ではマイコプラズマ肺炎にかかってしまった場合は、学校や会社は休むべきなのでしょうか?
結論から言うと、しっかりとした感染症対策を行った上であれば、症状が軽くなった段階から登校や出勤をしても問題はないと考えられます。
マイコプラズマ肺炎は、発症から約2~8日が病原体排出のピークとなり、その後4~6週間にわたって排出が続くといわれています。
つまり発症から約1週間が一番うつりやすい時期となります。
そのため、約1週間はなるべく在宅ワークに切り替える等で他の人との接触を避け、症状が軽くなった後はマスク着用や、こまめな手洗い、アルコール消毒等で相手にうつさない対策を行うことが重要です。
また飛沫によって感染するため、ご家庭の中では基本的な感染症対策に加え、タオルの共用等は避けるようにしましょう。

マイコプラズマ肺炎に
かからないためには?

ではそもそもかからないようにするためにはどうしたら良いのでしょうか?
現状マイコプラズマ肺炎を予防するワクチンは無いため、かからないようにするためには日々感染症対策をする以外に方法はありません。
マイコプラズマ肺炎は「飛沫感染(+エアロゾル感染)」と「接触感染」が主な感染経路となります。
したがって、まずはこれらの感染経路を遮断することが効果的な対策となるため、「①マスクの着用」「②こまめな手洗い・手指消毒」「③定期的な換気」といった基本的な感染症対策が有効です。

マスクの効果については
以前の記事に詳細をまとめています

またウイルスをシャットアウトするだけでなく、自身の「免疫力を低下させない」ことも非常に重要です。
免疫力は、睡眠不足や偏った食事による栄養不足運動不足等によって低下していきます。
忙しい日々の中で生活習慣を変えることは難しいですが、新型コロナウイルスが流行している今だからこそ、
一つ一つ気を付けていきたいですよね。
感染症にかからず健康で元気な毎日を過ごすために、日々の生活習慣に気を付けましょう!

有効な免疫対策

  • しっかりとした睡眠をとる
  • 適度な運動をする
  • バランスの良い食事をとる
  • サプリメントを摂取する

キリンでは、新型コロナウイルスだけでなくインフルエンザウイルスの感染抑制や風邪の罹患率の低下が報告されている「乳酸菌」の研究を約15年間に渡り行ってきました。詳細は下記のページにまとめていますのでぜひご覧ください!
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