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vol.13 機能性表示食品とトクホは
どう違うの?

2024.05.31

身体に良い機能がある食品として、機能性表示食品や特定保健用食品(いわゆる「トクホ」)などがあげられます。聞いたことはあるけれど、はっきりとした違いはよくわからないという方も多いのではないでしょうか?
このコラムでは、その違いについて解説したいと思います。

西﨑泰弘

解説・監修:西﨑 泰弘先生

東海大学医学部
総合診療学系健康管理学領域 主任教授
NPO法人 健康長寿研究教育センター 理事長

食品にはどんな種類があるのか?

一般的に販売される食品は、
法令上、下図のように区分されています。

食品区分

消費者庁:「消費者の皆様へ「機能性表示食品」って何?」より引用

一般食品

野菜、果物、肉、魚、乳製品、穀物、パン、菓子、飲料などが該当し、栄養バランスを考慮して摂取することで健康を維持する役割を果たします。
栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品といった名前のものも一般食品に含まれます。
これらは「食後血糖値の上昇を抑えます」や「睡眠の質を向上します」といった機能性の表示ができません。

保健機能食品

保健機能食品には特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の3種類があります。
国が定めた機能性や安全性に関する基準などに従って食品の機能が表示されている食品です。

特定保健用食品(トクホ)

からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、健康の維持増進に役立つことが科学的根拠によって証明されている食品です。国の審査を受け許可を得ることで、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)ができます。

栄養機能食品

特定の栄養成分(ビタミン・ミネラル等)の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示する食品です。
定められた栄養素を一定の基準量で含む食品であれば、国への届出・申請を行うことなく、注意喚起表示等記載した上で定められた表現による機能性表示を行うことができます。

機能性表示食品

従来、機能性を表示できるのは2種類(トクホ、栄養機能食品)だけでしたが、機能性をわかりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が正しい情報を得て選択できるようにと2015年に制度化されました。事業者の責任において、機能性関与成分によって健康の維持増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減は含まないもの)が期待できる旨を科学的根拠に基づき表示した食品です。

よく聞く「機能性表示食品とトクホ」の違いとは

「機能性表示食品」と「特定保健用食品(トクホ)」は、どちらも機能性だけでなく安全性についても科学的な根拠に基づいたデータが揃えられており、それをもとに機能が表示された食品です。しかし以下のように表示の方法や根拠、情報公開方法などに違いがあります。

機能性表示食品 トクホ
マーク

特定のマークはないが、
パッケージに「機能性表示食品」と文字で記載されている。
届出番号が記載されている。

トクホマークがついている。

消費者庁許可 特定保健用食品
表示の
根拠

事業者(企業・団体など)の
責任で消費者庁に届出

消費者庁長官が許可

有効性/
機能性の
評価方法

最終製品によるヒトでの試験もしくは機能性関与成分に関する文献調査により科学的に根拠を示す。

基本的には、最終製品によるヒトでの試験を実施し、科学的に根拠を示す。

情報
公開

事業者(企業・団体など)から届出された情報は公開される。
届出詳細内容は消費者庁ホームページで確認できる。

機能性表示食品について | 消費者庁 (caa.go.jp)

安全性評価結果、生産・製造及び品質の管理に関する情報、機能性の科学的根拠、作用機序など、消費者庁に届出された情報が公開されており、誰でも情報を確認することができる。

事業者(企業・団体など)が
情報を公開することは義務付けられていない。
「健康食品」の安全性・有効性情報ホームページで事業者から提供された情報を確認できる。

特定保健用食品 - 「 健康食品 」の安全性・有効性情報 (nibiohn.go.jp)

機能性表示食品とトクホは、どちらも健康に配慮した商品です。機能性表示食品については消費者庁のHPを確認することで、機能性や安全性の情報を入手することができます。
トクホも事業者から提供された情報を確認することができますので、情報収集をして、ご自身の体調や生活習慣に合った選択をしましょう。