免疫とは? 感染症とは?

感染症とは、病原体と呼ばれる微生物が体内に侵入し、増殖することで症状が出る病気のことです。
病原体には大きさや構造により、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫などがあります。
そのほとんどは肉眼で見えないほど小さく、空気中や水、土、動物など、私たちの身の回りに常に存在しています。

病原体の種類と感染経路

病原体の種類

  • 寄生虫

    寄生虫

    回虫・シラミなど

  • 真菌

    真菌

    カビ・酵母など

  • 細菌

    細菌

    大腸菌・コレラ菌など

  • ウイルス

    ウイルス

    インフルエンザ
    ウイルス
    など

出典:学研まんがでよくわかるシリーズ176 免疫のひみつ

感染症を引き起こす主な病原体は、ウイルスと細菌です。2つの病原体には、以下のようなちがいがあります。

大きさ 構造 増え方 病原体(引き起こされる感染症) 医薬品
ウイルス ●肉眼では見えないほど小さい。大きさは約10~200nm
(ナノメートル)で、細菌の10分の1から100分の1。
●光学顕微鏡では見えないが、電子顕微鏡で見える。
ノンエンベロープ ウイルス/エンベロープ ウイルス ●細胞膜がない。カプシド/核酸/エンベロープ 細胞がないため、人や動物の細胞の中に入りこんで自分のコピーをつくって、増える。 ●インフルエンザウイルス(インフルエンザ)
●コロナウイルス(コロナウイルス感染症)
●ノロウイルス(感染性胃腸炎[食中毒])
●麻疹ウイルス(はしか)
●風疹ウイルス(風疹)
●ヘルペスウイルス(帯状疱疹)
●HIV(エイズ)など
抗生物質が効かない。
細菌 ●肉眼では見えないほど小さく、大きさは約0.5~3μm
(マイクロメートル)。
●光学顕微鏡で見える。
●細胞膜がある。細胞壁/べん毛/核様体/線毛/リボソーム/細胞膜 細胞があるため、自分と同じ細胞をコピーして(細胞分裂)、増える。 ●肺炎球菌(肺炎球菌感染症)
●大腸菌(感染性胃腸炎[食中毒])
●結核菌(結核)
●破 傷風菌(破傷風)
●ペスト菌(ペスト)
●コレラ菌(コレラ)
●百日ぜき菌(百日ぜき)
●赤痢菌(赤痢)など
抗生物質が効く。

出典:学研まんがでよくわかるシリーズ176 免疫のひみつ

感染経路

病原体が体内に侵入する経路を「感染経路」と言い、主に下の4つがあります。

  • ⒈空気感染

    空気中に浮遊する細菌やウイルスを吸い込んで感染する。

  • ⒉飛沫感染

    咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込んで感染する。

  • ⒊接触感染

    感染した人に触れたり、細菌やウイルスが付着したものを触って感染する。

  • ⒋媒介物感染

    汚染された水や食品、血液、動物や昆虫などを仲介して感染する。

感染症の歴史

年表

これまで世界中に蔓延し、多くの人の命を奪った感染症。人類と感染症の戦いの歴史を紐解いてみましょう。

西暦
できごと
約3000年前
古代エジプトで
結核天然痘が流行する。
2世紀
古代ローマでマラリアが流行する。
6世紀
コンスタンティノープルでペストが流行する。
8世紀
日本で天然痘が流行する(奈良時代)。
14世紀
ヨーロッパでペストが大流行し、人口の3分の1以上が死亡する。
16世紀
ヨーロッパからメキシコ、中央アメリカに天然痘が伝わり、大流行する。
17世紀
ロンドン(イギリス)でペストが流行する。
レーウェンフックが細菌を発見する。
1796年
エドワード・ジェンナーが天然痘の予防接種に成功する。
1810年代
コレラの世界的流行が始まる。
1882年
ロベルト・コッホが結核菌を発見する。
1883年
ロベルト・コッホがコレラ菌を発見する。
1885年
ルイ・パスツールが狂犬病ワクチンを開発する。
1894年
アレクサンドル・イェルサンと北里柴三郎がペスト菌を発見する。
1897年
志賀潔が赤痢菌を発見する。
1905年
フリッツ・シャウディンが梅毒トレポネーマを発見する。
1909年
シャルル・ジュール・アンリ・ニコルが発疹チフスがシラミによって感染することを発見する。
1910年
パウル・エールリッヒと秦佐八郎が梅毒の治療薬サルバルサンを開発する。
1918年
スペインかぜ(インフルエンザ)の世界的流行が始まる。
1928年
アレクサンダー・フレミングが初の抗生物質ペニシリンを発見する。
1933年
ウイルソン・スミスらがインフルエンザウイルスを発見する。
1944年
セルマン・A・ワクスマンらが結核の治療薬ストレプトマイシンを開発する。
1980年
世界保健機関(WHO)が天然痘の根絶を宣言する。
1980年代〜
エイズ(後天性免疫不全症候群)が世界でまんえんする。
2003年
SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行する。
2009年
新型インフルエンザが世界的に流行する(〜2010年)。
2012年
MERS(中東呼吸器症候群)が流行する。
2019年〜
新型コロナウイルス感染症が世界的に流行する。

出典:学研まんがでよくわかるシリーズ176 免疫のひみつ

  • 1.天然痘

    天然痘ウイルスによる感染症です。
    感染すると高熱が出て、体中に発疹ができ、重症の場合は死に至ります。

  • 2.ペスト

    ペスト菌による感染症で、感染したノミに血を吸われることによって人へ伝染します。皮膚が黒くなって亡くなるため、黒死病とも呼ばれます。

  • 3.コレラ

    コレラ菌に汚染された水や食べ物を飲んだり食べたりして引き起こされます。
    激しい下痢や吐き気などの症状が起こります。

  • 4.結核

    結核菌による感染症です。
    発症すると咳やたん、発熱など、風邪のような症状が起こります。

  • 5.ポリオ

    ポリオウイルスによる感染症です。
    5歳以下の子供がかかることが多く、重症になると、手足のまひを発症することがあります。日本では「小児まひ」とも呼ばれます。

  • 6.麻疹

    麻疹ウイルスによる感染症で、子供に多く発症します。発熱、鼻水、激しい咳、目の充血、赤くてかゆい発疹などの症状が起こります。

  • 7.ウイルス性
    肝炎

    肝炎ウイルスによる感染症です。
    肝臓の細胞が少しずつ壊れていく病気で、肝硬変や肝臓がんを発症することもあります。

  • 8.新型コロナ
    ウイルス

    新種のコロナウイルスによる感染症。
    発症すると、発熱、倦怠感など、風邪のような症状が起こり、重症になると肺炎を引き起こします。

出典:学研まんがでよくわかるシリーズ176 免疫のひみつ