感染症の種類から日常生活の注意点まで。“免疫”のことを『分かりやすく』発信していきます。

vol.28 「保育園の洗礼」とは?
入園後にかかりやすい感染
症とその対策
【RSウイルス・感染性胃腸炎・手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱】

2025.05.14

「保育園の洗礼」とは、保育園に通い始めた子どもが感染症に次から次へと感染し、短期間に何度も休みや早退をしてしまうことだと言われています。

保育園に預けられるようになってようやく仕事に復帰したのに、子どもの突然の高熱などがママやパパの大きな負担となることも。

本記事では「保育園の洗礼」を乗り越えるため、入園後にかかりやすい感染症の症状やその対策についてまとめました。

これから入園を控えているお子さんをお持ちの方々に、本記事の内容が少しでもお役に立てば嬉しいです!

「保育園の洗礼」とは?
起こるのはなぜ?

「保育園の洗礼」とは、保育園に通い始めた子どもが感染症に次から次へと感染してしまうことです。

なぜ「保育園の洗礼」が起こるかというと、原因は子どもの未発達な「免疫」にあります。子どもは菌やウイルスに対してまだ「免疫」ができていないため、0歳~小学校入学前までは様々な風邪や感染症にかかりやすくなっています。

「免疫」ができていない時期において、集団生活となる保育園ではどうしても感染症が広がりやすくなってしまいます。

特に入園後3ヶ月の間は「保育園の洗礼」が起こりやすくなる時期と言われており、なんと93.9%のママが子どもの体調不良を理由に仕事を休んだり遅刻や早退を経験したりしています

入園後にお子様が休んだ、遅刻した、早引きしたことがある方にお伺いします。そのために、仕事を休んだり、遅刻したり、早退したことがありますか。入園後1ヶ月以内にある 48.5%/入園後3ヶ月以内にある 27.3%/入園後3ヶ月以降にある 18.2%/そうした経験はない 6.1% (n=235)

引用:げんきな免疫プロジェクト
〈新生活を前に『親子が直面する「保育園の洗礼」実態調査』を実施〉

さらに、子どもの体調不良によって仕事を休んだ日数の最長は、3~5日が最も多く(34.4%)、中には6日以上も休んだことがあるママ(15.1%)もいました。

入園後にお子様の体調不良で、仕事を休んだ、遅刻した、早引きしたことがある方にお伺いします。保育園や幼稚園の入園後にお子様がお休みになった際に、最長で何日間お仕事をお休みしたことがありますか。 保育園/幼稚園先輩パパ・ママ 半日未満 パパ 7.8% ママ 6.5%/半日 パパ 12.2% ママ 5.4%/1日 パパ 36.5% ママ 14.0%/2日 パパ 23.5% ママ 24.7%/3〜5日 パパ 16.5% ママ 34.4%/6日以上 パパ 3.5% ママ 15.1%(n=208)

引用:げんきな免疫プロジェクト
〈新生活を前に『親子が直面する「保育園の洗礼」実態調査』を実施〉

では「保育園の洗礼」が起こりやすい季節はいつなのでしょうか?

アンケート調査によると、4~6月の春の3ヶ月間に体調不良による保育園からの呼び出しが最も多かったと答えており、感染症流行期である冬と同じくらいリスクが高いことが分かっています。

入園後にお子様の体調不良で、園からの呼び出しが多かった月をすべてお選びください。4月 16.9%/5月 19.3%/6月 20.7%/7月 11.6%/8月 9.8%/9月 7.8%/10月 9.1%/11月 13.8%/12月 23.8%/1月 19.3%/2月 18.2%/3月 6.7%/呼び出しがあった事はない 34.0%(n=450)

引用:げんきな免疫プロジェクト
〈新生活を前に『親子が直面する「保育園の洗礼」実態調査』を実施〉

避けては通れない「保育園の洗礼」。
ではどのような対策をすれば良いのでしょうか?
まずはかかりやすい感染症について解説していきます。

「保育園の洗礼」で
かかりやすい感染症

RSウイルス感染症

  • 発熱、鼻汁などの軽い風邪のような症状が出る
  • 大人では鼻炎程度の軽い症状で済むことが多いが、初めて感染した乳幼児は重症化しやすい
  • 特に生後6ヶ月以内に感染した場合は、細気管支炎、肺炎など重症化する場合もある

感染性胃腸炎
(ロタウイルス・ノロウイルスなど)

  • ウイルスや細菌によって、腹痛や下痢、嘔吐などの症状を引き起こす感染症の総称
  • 特に「ロタウイルス」は、乳幼児期(0~6歳)にかかりやすい病気で、水のような下痢、吐き気、嘔吐、発熱、腹痛などの症状が出る

手足口病

  • 口の中、手のひら、足底や足の甲などに2~3mm程度の水疱を伴う複数の発疹が出る
  • 発熱は38度以下のことが多く、高熱が続くことは通常はない
  • 感染者の半数を2歳以下が占めるほど、小さな子どもがかかりやすい感染症

ヘルパンギーナ

  • 感染してから2~4日後に突然の発熱に続いて、のどに痛みと水疱が出る
  • 2~3日以内に回復するが、合併症に注意が必要
  • 5歳以下が感染者の90%以上を占めるほど、小さな子どもがかかりやすい感染症

プール熱

  • 正式名称は「咽頭結膜熱」
  • アデノウイルスの感染により発熱(38~39度)、のどの痛み、結膜炎などの症状が出る
  • 1日の間に39~40度の高熱と37~38度前後の微熱の間を上がったり下がったりすることが4~5日ほど続くのが特徴
  • 主要症状がなくなった後、2日を経過するまで登校禁止

参考:厚生労働省 感染症情報

関連記事:子どもがかかりやすい感染症

以上、保育園でもよく耳にする感染症ですが、これらの感染症になるべくかからないようにするにはどうすれば良いでしょうか?

ここからは予防方法やかかってしまった時の対処法について解説していきます。

「保育園の洗礼」を予防するには?

入園後になるべく感染症にかからないようにするために、まずは入園前に受けることができるワクチンをご紹介します。

定期接種ワクチンとは、予防接種法という法律で接種することが勧められているワクチンで、原則無料(公費負担)で接種を受けられるものです。定期接種ができるワクチンはなるべく期間内に全て接種し、感染や重症化を予防しましょう。

定期接種ワクチンの一覧

ワクチン 標準的な接種年齢 病気
ロタウイルスワクチン 生後2ヶ月~ ロタウイルス
5種混合ワクチン ・生後2ヶ月~
※追加接種あり
ジフテリア
破傷風
百日せき
ポリオ(急性灰白髄炎)
Hib感染症
子どもの肺炎球菌
ワクチン
生後2ヶ月~
※追加接種あり
子どもの肺炎球菌感染症
B型肝炎ワクチン 生後2ヶ月~ B型肝炎
BCGワクチン 生後5ヶ月~ 結核(BCG)
MRワクチン 1歳~、5歳~ 麻しん
風しん
水痘ワクチン 1歳~ 水痘
日本脳炎ワクチン 3歳~、9歳~ 日本脳炎

参考:厚生労働省 予防接種・ワクチン情報

かかりつけ医を調べておく

また、感染症にかかってしまった時にはすぐに対応できるよう、入園前にかかりつけの病院を複数見つけておくことが重要です。

小児科、皮膚科、耳鼻科をはじめ、土日や夜間に診察を受けられる病院をあらかじめ調べておきましょう。
調べ方としては、厚生労働省が提供する「医療情報ネット(ナビイ)」というサービスがお薦めです。
このサービスでは、医療機関の診療科目や診療日、診療時間、対応可能な疾患・治療内容等が分かります。

こういった便利なサービスを活用し、身近な医療機関やかかりつけ医を見つけておくことが大切です。

帰宅後の手洗い・足洗い

お子さんの感染症対策は、ママとパパほどこまめに行うことは難しいですが、基本的なことだけでも意識的に行うことが非常に重要です。

保育園は裸足で過ごすことも多いため、帰宅後の手洗いだけでなく、足洗いも石鹸を使って丁寧に行いましょう。

手洗い・足洗い

また、可能な限りお風呂にすぐに入ることで、髪や顔についた細菌やウイルスを洗い流してあげることも感染症対策には有効です。

「保育園の洗礼」に
かかってしまった時の対処法は?

いくら予防を徹底していても、どうしても感染症にかかってしまうことはもちろんあります。
その場合は下記の2つに注意することが必要です。

  • ① 早めに病院に連れて行く
  • ② 保育園に確認をする

まずは何よりも「早めに病院に連れて行く」ことが重要です。
もちろん感染症の検査は発症からある程度の時間が経たないと、はっきり分からないこともありますが、重症化するリスクがある以上は早めの受診が肝心です。
また、微熱の場合や症状がはっきりと出ていない場合については、保育園に直接方針を確認することをお勧めします。
保育園はそれぞれ登園基準を設けているため、お子さんが体調不良の際にはきちんと相談をしましょう。

「保育園の洗礼」に備えて
「免疫」を高めよう!

「保育園の洗礼」で怖いのが、お子さんがもらってきた感染症が家庭内で広がってしまうケースです。

ママとパパも体調不良でダウンしてしまうと、色々と大変になってしまいますよね。
さらに厄介なのが、治ったと思ってもまたお子さんが保育園で感染する・・・というケースです。
これを防ぐために、ママとパパの「免疫」を高めておくことが非常に大切です。

「免疫」を高める方法

「免疫」を高めるためには、ずばり

  • ① 食事
  • ② 運動
  • ③ 睡眠

の3つが重要です。
偏った食事運動不足寝不足などによって免疫力は低下するため、この3つを心がけることで感染症予防につながります。

しかしどうしても仕事に、家事に、子育てに・・・となると、ここまで気を配れないのが現実です。
そこで、免疫力を高める食品等を上手に使っていくことが「保育園の洗礼」を乗り越える重要な鍵となります。
キリンではこういった課題に対応するため、約15年間にわたって風邪や新型コロナ、インフルエンザ等に対する乳酸菌の研究を行ってきました。
最後にその研究成果について解説していきます。

プラズマ乳酸菌の研究成果

プラズマ乳酸菌は食品素材としては異例の多さである34報の研究論文を発表しており、様々な感染症に効果があることが分かっています。その中でも代表的なものをピックアップしてご紹介します

風邪・インフルエンザ様症状を抑える効果

健康な男女213名をプラズマ乳酸菌を飲んだグループ飲まなかったグループに分け、冬季70日間の症状を調べました。
その結果、「咳」や「熱っぽさ」など、風邪、インフルエンザ様症状の自覚症状が軽減されることが報告されました。

風邪・インフルエンザ様症状
〈自覚症状の比較〉

「咳」累積発症者数(人) 「熱っぽさ」累積発症者数(人)
ひどい/かなりある/多少ある/少しだけある

**は有意水準0.01で、統計学的に有意差あり
出典:Br J Nutr. 114:727-733, 2015.

詳しくはこちら

また、岩手県雫石町の全小中学校にプラズマ乳酸菌を給食で3ヶ月間(週3回)配布したところ、隣接するA町と比べてインフルエンザの累積罹患率が減少したと報告されました。

小中学生の町別
インフルエンザ罹患率の比率

累積罹患率(%)/雫石町(乳酸菌 L.ラクティス プラズマ摂取)/隣接A町「有意に低い」

**は有意水準0.01で、統計学的に有意差あり
出典:Health, 9: 756-862, 2017.

詳しくはこちら

このように、プラズマ乳酸菌による風邪やインフルエンザに対する数多くのエビデンスが報告されています。

その他にも様々なウイルス、細菌に対しての研究結果があります。
ぜひ興味のある方は下記のページを覗いてみて下さい!

以上、今回は「保育園の洗礼」について解説しました。
これから入園をされるお子さんをお持ちのママ、パパにとって、この記事が少しでもお役に立てば嬉しいです!