HMOとは
HMO (Human Milk Oligosaccharide:ヒトミルクオリゴ糖)は母乳に含まれるオリゴ糖*の総称で、母乳に含まれる固形成分の中で、ラクトース、脂質に次ぐ、三番目に多い成分です。これまでに200種類以上のHMOが母乳から発見されています。
牛乳や他哺乳類由来の乳では濃度が極めて低く、特にヒトの初乳に多く含まれることから、赤ちゃんにとって重要な成分であることが知られています。1
*オリゴ糖:数個の単糖が結合した糖類。HMOは主にグルコース、ガラクトース、フコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルノイラミン酸によって構成される。
母乳中の主要な栄養素*
*参考文献1をもとに値を算出し、作図
HMOの種類
約180種のHMOが構造決定されています。
論文等で報告されている代表的なHMO23種を以下の一覧に示します。
(2023年8月時点)
母乳中に存在する
代表的なHMO一覧
(全HMO構造リストより一部抜粋)
中性オリゴ糖
- 2'-FL

- 3-FL

- DF-L(LDFT)

- LNT

- LNnT

- LNFP-I

- LNFP-II

- LNFP-III

- LNFP-V

- LNDFH-I

- LNDFH-II

- LNH

- LNnH

- F-LNH-I

- F-LNH-II

- DF-LNH-I

- DF-LNH-II

酸性オリゴ糖
- 3’-SL

- 6’-SL

- LST a

- LST b

- LST c

- DS-LNT

Consortium for Functional Glycomics(CFG)記号は個々の単糖を異なる色で表現するために使用され、異なるグリコシド結合は時計回りのフォーマットで異なる結合角度で示される。
HMOの機能
HMOはビフィズス菌などの善玉菌の栄養素となる物質、プレバイオティクス*です。1 ヒトの消化酵素によって代謝されず大腸まで到達し、腸内細菌によって代謝され、様々な生理機能を発揮します。HMOの研究が進むにつれ、乳児の「栄養素」としての働きに加えて「機能性成分」としての働きが期待されています。
*プレバイオティクス:人体に有益な微生物の選択的栄養源となり、それらの成長や増殖を促す物質
-
腸内フローラ
維持
-
抗感染、
免疫調節
-
脳機能
参考文献
1.
Lars Bode, Human milk oligosaccharides: Every baby needs a sugar mama. Glycobiology, 22, 1147-1162(2012)