母乳由来のチカラで、腸から始める健康習慣 HMO(ヒトミルクオリゴ糖)

HMOとは

HMO (Human Milk Oligosaccharide:ヒトミルクオリゴ糖)は母乳に含まれるオリゴ糖の総称で、母乳に含まれる固形成分の中で、ラクトース、脂質に次ぐ、三番目に多い成分です。これまでに200種類以上のHMOが母乳から発見されています。

牛乳や他哺乳類由来の乳では濃度が極めて低く、特にヒトの初乳に多く含まれることから、赤ちゃんにとって重要な成分であることが知られています。1

*オリゴ糖:数個の単糖が結合した糖類。HMOは主にグルコース、ガラクトース、フコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルノイラミン酸によって構成される。

母乳中の主要な栄養素

母乳組成(全体)水分など87% 主要な栄養素13%/主要な栄養素(HMO、タンパク質、ラクトース(乳糖)、脂質)

*参考文献1をもとに値を算出し、作図

HMOの種類

約180種のHMOが構造決定されています。
論文等で報告されている代表的なHMO23種を以下の一覧に示します。
(2023年8月時点)

全HMO構造リスト

母乳中に存在する
代表的なHMO一覧
(全HMO構造リストより一部抜粋)

中性オリゴ糖

  • 2'-FL
  • 3-FL
  • DF-L(LDFT)
  • LNT
  • LNnT
  • LNFP-I
  • LNFP-II
  • LNFP-III
  • LNFP-V
  • LNDFH-I
  • LNDFH-II
  • LNH
  • LNnH
  • F-LNH-I
  • F-LNH-II
  • DF-LNH-I
  • DF-LNH-II

酸性オリゴ糖

  • 3’-SL
  • 6’-SL
  • LST a
  • LST b
  • LST c
  • DS-LNT
グルコース/ガラクトース/フコース/N-アセチルグルコサミン/N-アセチルノイラミン酸(シアル酸)

Consortium for Functional Glycomics(CFG)記号は個々の単糖を異なる色で表現するために使用され、異なるグリコシド結合は時計回りのフォーマットで異なる結合角度で示される。

HMOの機能

HMOはビフィズス菌などの善玉菌の栄養素となる物質、プレバイオティクスです。1 ヒトの消化酵素によって代謝されず大腸まで到達し、腸内細菌によって代謝され、様々な生理機能を発揮します。HMOの研究が進むにつれ、乳児の「栄養素」としての働きに加えて「機能性成分」としての働きが期待されています。

*プレバイオティクス:人体に有益な微生物の選択的栄養源となり、それらの成長や増殖を促す物質

  • 腸内フローラ
    維持

  • 抗感染、
    免疫調節

  • 脳機能

参考文献

1.
Lars Bode, Human milk oligosaccharides: Every baby needs a sugar mama. Glycobiology, 22, 1147-1162(2012)